ジョリパットの塗り替えに汎用塗料を使うのはNGってホント…!??

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ジョリパットの塗り替えについては、ジョリパット専用の塗料で塗り替えなければ
ならない…!!

しかも、専用塗料以外の汎用塗料で塗り替えると、ジョリパットの外壁が劣化する
とまで主張している業者が存在します。

これって本当でしょうか…???

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ジョリパットとは?

まずはジョリパットとはどんな塗料なのかを知ることが大切!

ジョリパットを「塗料」と書きましたが、塗料メーカーが作る塗料とは一線を画していて
アイカ工業という塗材メーカーが作る、一種のモルタル状の塗材を指します。

そのジョリパットの特徴といえば、多種多様なパターン(模様)が作れる事が挙げられ、
左官仕様のコテ仕上げから、吹付けや、ローラー仕上げも可能で、それぞれ独特の模様を
作ることができます。

このことで、デザイン性に優れ…などと表現することが多いようですが、わたし自身は
このデザインと言う言葉には少し抵抗がありますが、色々な装飾性が得られることには
間違いありません。

このようなたくさんのパターンを作ることができるので、意匠性は抜群と言えます。

外見上はこのような特徴がありますが、ジョリパットの本質的な特性は…というと、
塗装業者によっては、えっ?そんなことってあるの…?

といったオーバートークとも思える表現が多いので驚いています。

ネット上での某塗装業者の主張

複数の塗装業者のホームページを覗いてみると、次のようなことが書かれています。

  • 弾性塗材なので、クラックに追随してひび割れしにくい。
  • 透湿性塗材なので汚れがつきにくい。
  • 耐用年数が15年~20年と高耐久。
  • 耐火性に優れている…等の他に
  • 雨水を弾かず、吸収して放湿する機能がある。
  • ジョリパットは水を含みやすいので、専用塗料以外の汎用塗料で塗ると、膨れたり
    剥がれやすくなり、外壁の劣化を早める。

といったような指摘でした。

アイカ工業のホームページ

上記塗装業者の主張するジョリパットの特徴を、本家本元のアイカ工業のホームページ
と見比べてみました。

アイカ工業がジョリパットの特性として上げているのは次のようなものです。

耐候性
退色の非常に少ない顔料を使用。色褪せが極めて少なく、いつまでも仕上がりの美しさを
保ちます。

防藻・防カビ性
防藻・防カビ作用により、繁殖を長期に渡って防ぎます。

汚れ防止
膜が水に馴染みやすいので、汚れの付着を防ぎ、美観を保ちます。

柔剛性
柔剛性(硬く、柔らかい性質)があり、この相反する2つの性質が優れた耐久性を生み出し
ます。

防火性
不燃材料に相当する安心設計です。

といったことが記載されていました。

塗装業者が主張するジョリパットの特徴と、アイカ工業の主張している特徴を併せて見て
みると、外壁の塗り替えで気にかかるのが「ひび割れしにくい」ことと「汚れにくい」
そして、
「雨水を吸収して排出する機能があって、水を含みやすいので、汎用塗料で塗ると膨れや
剥がれが起きやすくなり、外壁の劣化を早める…。」
といったことではないでしょうか…

ひび割れしにくいって、ホント?

ご自分の家がジョリパットの外壁なら、そのことを確認することができますし、他人の
家の外壁でも、気にして見てみると確認することができるので、一度検証してみてはい
かがでしょう…

おそらく、立地条件やその他にもよりますが5年~7年程度でヒビが入ったりしていない
でしょうか…?

これは、築10年未満に発生したクラックです

こうしたことはアイカ工業も認めているように、ジョリパットの下地のモルタルにひび
割れが発生すれば、上に塗ってあるジョリパットにもひびが入ってしまうものなのだか
らです。

これはどの塗料、塗材もほとんど一緒の性質です。

弾力のある塗料・塗材(弾性塗料・塗材)だから、ひび割れに追随することができる!
というのは、まったくのオーバートークどころか間違いだとさえ思っています…

昔(20年ほど前)に弾タイルという弾性塗料を使った吹き付けタイル状仕上げが、もては
やされたことがありました…。

この弾タイルは下塗り塗料も弾性なら、玉吹きする玉も弾性、その上に塗る上塗り塗料も
弾性なのでクラックに追随する…!というのが謳い文句のようでしたが、住宅によっては
数年でクラックが発生した経験があり、他の家のクラックも散見したことがあります。

そんなとき、わたしが施工した家のご主人が”メーカーの嘘っていうのもあるからな…”と言
ってわたしを慰めてくれたのを記憶しています。

わたしはその日依頼、こうした効能については必ず「メーカーではこう言ってます…」
だけ言うようにしました…。

余談はさておいて、モルタルのクラック(ひび割れ)というのは時間とともに広がって
いきますが、それをジョリパットの特性である「硬く、柔らかい」という性質を持って
しても止めることも追随することもできません。

弾性塗料というのは粘性があるので、クラックに入り込みクラックを埋める事はできま
すが、それでクラックの広がりを止める効果は殆ど期待できませんし、先程のように下
地のモルタルにクラックが入ってしまえば、それに追随できずひび割れが生じてしまい
ます。

こうしたクラックには、ひび割れ専用のシール剤を充填するほうが塗料で埋めるよりも
ずっと強力ですが、塗料で埋めたほうが仕上がりだけならきれいに仕上がることがあります。

年々広がるクラックに追随できる塗料というのは、かなり特殊な塗料で、一部断熱塗料
中に見つけることができるかもしれません…

断熱塗料と遮熱塗料の違い

ちなみに、遮熱塗料というのは文字通り熱を反射して、内部の温度を下げようとするもの
ですが、これは断熱塗料も同じです。

ただ、断熱塗料と遮熱塗料には決定的な違いがあって、それは遮熱塗料は熱を反射して
内部の温度を下げるだけなのに対し、断熱塗料は熱を遮断するだけでなく、内部の温度
を外に逃さない効果もあるのが大きな違いです。

この断熱塗料の中にはかなり大幅に伸縮するものもあるようなので、断熱塗料に興味
のある方はそれぞれのメーカーに直接お問い合わせになられたら…と思いますので、参
考までに主だったメーカーと製品名を下記に挙げておきます。

(株)日進工業「ガイナ」 東日本塗料(株)「断熱コートEX」 プレマテックス(株)
「シャダンネオ」 (株)シンマテリアルワン「キルコ」 (有)東亜システムクリエイト
「ヒートカット」 (株)アクアシステム「断熱くん」…等々。

汚れが付着しにくい…ってホント?

ジョリパットのメリットとして、透湿性(水分を吸収して、吐き出す機能がある。)が
あるので汚れがつきにくいとか、苔カビなどが付着しにくいとありましたが、わたしに
はどうも、あちこち見てるとその逆のように見えてしまうのですが…

ここに掲載した4点の写真は、どれも築10年程度の家の塀ですが、どれも汚れや苔カビ類が付着しています。

こうした症状を嫌って、艶のある汎用塗料(ウレタン、シリコン、フッ素塗料等々)で
塗り替えを希望するお客様は少なくありません。

けれど、ジョリパットの上に汎用塗料を塗ると、せっかくの透湿性を遮断してしまい
内部の水分が逃げようとしても逃げられないため、気泡が出たり剥がれやすくなる…と
説明しています…

本当でしょうか…!??

汎用塗料を塗ると化学変化が起きる…!??

様々な業者が汎用塗料で塗り替えるデメリットを指摘しています。

ということは、当然汎用塗料で塗ってみた実証結果…!

だと思うのですが、その結果の画像をわたしは見たこともなければ、汎用塗料で塗り替え
た家の外壁を見ても、膨れたり剥がれたりしている外壁を見たことがありません。

こうしたデメリットを指摘する業者の中には、ジョリパットの上に汎用塗料を塗ると化学
変化によって、剥がれやすくなる…と指摘する業者さえもいます。

どんな化学変化が起こるのでしょう…?

塗装職人が化学変化と聞いてすぐに思い起こすのは、亜鉛引のトタンではないでしょうか…

亜鉛が効いてるうちにペンキを塗ると、化学変化してすぐに剥がれてしまうので、エッチ
ングプライマーを塗布してから塗るように…というのが化学変化に対する知識で、それ以外
の化学変化するという対象物をわたしは知りません。

論より証拠!百聞は一見にしかず!

下の写真は、わたしが10年近く前にジョリパットの家を塗り替えた外壁ですが、外壁も
屋根も外壁に付帯する霧除けや雨樋に至るまで、全てフッ素塗料で仕上げたものです。

築10年ほど経過した住宅ですが、苔カビ類が付着しています。
その住宅をフッ素塗料で仕上げた外壁ですが、現在すでに10年
ほど経過していますが、膨れ、剥がれなどの兆候はありません。
上の家の塀は外壁よりも苔・カビの発生が多く見られました。
塗装してから、同じく10年ほど経過しましたが膨れや剥がれは
生じていません。

この他にも、シリコンのラジカル塗料で仕上げた家もありますが、一部業者の指摘する
膨れも剥がれも発生していません。

こちらも築10年ほどの家のジョリパットの塀です。
その塀を、水性のラジカルシリコン塗料で仕上げたものですが、同じく指摘されているような症状は生じていません。

ジョリパットを汎用塗料で仕上げると、一番問題になるのは外見上の風合いの問題では
ないでしょうか…

確かにつや消し仕上げのシックな装いから、光沢のある仕上げに変わるのには抵抗があ
るかもしれません…。

けれど、それを望むお客様がいたらどうでしょう…?

わたしの出会ったお客様たちは、現在の外壁の風合いよりも、汚れや苔カビが生えにく
く長持ちする塗料での塗り替えを望んでおられました…。

ジョリパットは雨水を吸収する…ってホント??

多くの業者が、ジョリパットは水を吸っているので、その上に汎用塗料のような撥水性の
塗料を塗ると、膨れたり剥がれの原因になる…と主張していますが、そんなに水分を吸収
してしまう塗料・塗材ってあるのでしょうか…?

撥水塗料と親水性塗料の違い。

撥水塗料というのは、水がはじかれて水滴になって流れ落ちる塗料を指しますが、このよ
うに水が水滴となって流れ落ちると、流れ落ちた部分が筋になって雨だれ染みの原因とな
り、かえって汚れを強調してしまうことから、最近の外壁用塗料の殆どが撥水性ではなく、
親水性塗料であることを強調しています。

親水性塗料というのは、水を弾くのではなく、水が塗膜全体に密着して広がる性質があ
り、その親水性の水には物が溶けやすかったり、混ざりやすい性質もあるので、雨が降
ったときなどには雨水とともに汚れが流れ落ちる…という特徴を持った塗料なのです。

こうしたことから、最近の外壁用塗料に撥水性を強調した製品はわたしが知る限り、皆無
だと思います。

もちろん、撥水塗料がないわけではありませんので、撥水性を望むのであれば撥水塗料で
の塗装も可能です。

艶ありと艶消し、どちらが汚れがつきにくい…?

この比較は聞くまでもないと思うのですが、磁器・陶器でできているツルツル面と素焼
きのザラザラ面を比べたら、ツルツル面のほうが汚れにくいのは容易に想像がつくと思
うのですが、なぜジョリパットのようなつや消し塗料のほうが汚れにくい…と主張する
のか、その根拠を探ってみました。

実は、そのことで思い起こすことがあります。

それは、以前日本ペイントの製品で「ビュートーン(吹き付け用)」「ビュートーンR
(ローラー用)というツヤ消しの外壁用塗料がありました。

仕上がりは今のSK化研の「アートフレッシュ」と似たような感じで、シックな仕上がり
感が得られました…。
わたしもその仕上がり感が好きで、何度か使用したことのある塗料でしたが、現在は販売
されていないようです…。

この製品の特徴として”雨水のような大きな粒子の水は通さないが、水蒸気のように小さ
な粒子の水分は排出する…!”というような謳い文句であったと思います。

これは多分ジョリパットも同じ趣旨の特徴を述べているのではないか…と思っています。

ところが、その特徴を塗装業者が代弁すると”ジョリパットは水分を吸収するので、その
上に汎用塗料を塗ると、膨れや剥がれが起こりやすい”という論拠になってしまっている
のでは…と想像しています。

しかしよく考えてみると、その主張っておかしいですよね…

水を含んだ塗膜って想像できますか…?

それって、ただの防水力を失った塗膜と一緒ではないでしょうか…?

もし、本当に塗装業者の主張するような”水を含んだ塗膜”であったら、下地のモルタル
との接着力がすぐに弱まってしまい、数年で剥離してしまうのではないでしょうか…

このように塗膜が剥がれた状態を放置しておくと、モルタルそのものの中性化が進み
次第に強度を低下させてしまいます。

モルタルの中性化というのは、モルタルの主成分のセメントは弱アルカリを保っていないと強度が保たれません。
そのため、空気中の酸化物に直接触れると、次第に中性化が進み強度を失ってしまいます。

結論!汎用塗料での塗り替えに問題はありません!!

これまで検証してきた結果、ジョリパットの塗膜も、吹付けタイルやセメントスタッコ、
リシン、掻き落とし面…等々を塗り替えるのと同じように考えて差し支えない…!という
のがわたしの得た結論です。

なぜなら、どんな塗料で塗ろうと、高圧洗浄したらすぐに外壁を塗装するなどというこ
とはあり得ません。

ましてや、ジョリパットは先程から吸い込んだ水分を吐き出す機能がある‼と誇示して
いるのですから、余計に乾燥も他の塗料よりも早いはずだからです。

それが水を含んだままだとしたら、水を吐き出すという機能が全く機能していないか、
そのような機能がないことになってしまいます…!!

以上のようなことから、わたしはジョリパットの塗り替えに汎用塗料を使うのはなんの
問題もない!と考えています。

だからといって、ジョリパットの塗り替えにジョリパットを使用したり、ジョリパッ
トと同じような仕上がり感が得られるその他の塗料で塗り替えることに反対をしてい
るわけではありません。

ただ、現状の外壁の風合いを継続したいと考えていらっしゃるお客様とそうでないお
客様がいらっしゃるということです。

それを、ジョリパットの塗り替えはジョリパット専用塗料でなければならない…!とい
うのは、明らかに間違いだと思っています。

このことは、ただ単に「独善的」というだけでなく、紛らわしい広告、オーバーな広告に
相当するのでは…?

とさえ思ってしまいます。

さて、汎用塗料(アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素等)にも3分ツヤ、5分ツヤな
どがあって、それらを製造している塗料メーカーはニッペ、カンペ、SK…等々枚挙しき
れないほどの数に登りますので、ここでは列挙しませんが、ジョリパットの風合いを継
続したいとお考えのお客様には、参考のために主なメーカーと製品名を列挙しておきます。

アイカ工業:ジョリパット(バリエーション豊富で、ジョリパット用「光触媒塗料」
      あります。)
SK化研:アートフレッシュ
日本ペイント:インディフレッシュセラ
関西ペイント:デコラフレッシュ
菊水科学:グラナダフレッシュ
※等々ですが、耐候性等の詳細情報は直接各メーカーにお尋ねすることをお勧めいたします。

最後に

わたしは一介の塗装職人ですから、塗料の成分の科学的な分析や解析などはできませんし、
その塗料の持つ特性やメリット、デメリットの情報などは、その殆どを塗料メーカーや塗
料販売店の情報に頼っているのが現実です。

そうは言っても、その塗料の作業性や仕上がり感、耐候性といったものは、自分で塗装
することによって実体験することができます。

そうした実体験から得られた情報を、ネームバリューや風評を恐れずにお客様にストレ
ートにお伝えし、お客様とともに高耐候で美しい外壁の実現を目指して努力を続けてい
きたいと考えています。

これからも「おたくに頼んでよかったよ!!」という言葉が得られるように、一軒一軒
丁寧な仕事を重ねていこうと考えています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

併せて読んで頂きたい記事
塗り替えをお考えのお客様に…



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