築22年目!で、初めての塗り替え

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築22年目で初の塗り替え工事をした、ある住宅の一部始終を

お客様の了解を得て全公開!!

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築22年目の現状

建物の外観は下の写真の通りです。

築22年目にしては、特筆するような劣化部分は見られませんが、

外壁の色褪せが年数を感じさせています。

サイディングの目地のシール(コーキング剤)も年数の割には

劣化が少ないように見えましたが、年数を考えれば、新たなシールに

打ち替えるのが妥当だと思います。

屋根の状況は、築年数相当の苔が繁茂していることと

コロニアルの屋根材のひび割れや欠けがあったり、棟板金の

釘の飛び出しが目立ちました。

お客様の要望を聞く事から始めます。

お客様は塗り替えだけでなく、TVのアンテナの取り替え、水道管の修理、

雨樋の全交換、室内ドアの新調等の要請がありましたので、

わたしの知り合いのそれぞれの業者に見積もりを依頼。

見積もりの了承を得られましたので、いよいよ工事開始ですが、

この他に、お客様の要望ではありませんが、建物正面のベランダの

アクリル板(正確にはポリカーネボイト)が軒天や破風を塗るのに不便なのと、

20年以上も経っているので汚れが目立つことから、

これを一旦外して塗装完了後に洗剤で洗ってから再び取り付けるようにしました。

仕事の手順、段取りを考える。

どの仕事も段取り八分などと言われるように、しっかりとした

手順を決めておかないと、無駄な労力、工事日数、仕上がりにも

大きな影響がありますので、各業者さんにわたしの塗装工程を

理解していただいたうえで、いつ工事に入ってもらうかなどの

綿密な打ち合わせをしました。

塗料の選択

さて、新たに塗る塗料を何にするかの打ち合わせの結果、

屋根は遮熱のフッ素塗料「SK化研のクールタイトF」を3回塗り、

外壁(窯業サイディング)は同じくSK化研のフッ素塗料

「クリーンマイルドF」を3回塗りとし、

その他の付帯物(破風、鉄格子、出窓上の板金、戸袋・雨戸等)は、

2液型溶剤シリコン塗料で、同じSK化研の「クリーンマイルドSi」2度塗り仕上げ、

軒天部分は日本ペイントのカチオン塗料「ケンエース」2度塗り仕上げ。

その他に玄関のエレガンストーン状仕上げの部分には、

三分ツヤの2液型クリヤー(透明)塗料の2度塗り仕上げとしました。

また、ベランダ床の防水トップには東日本塗料の「弾性トップ14」を使用。

下塗り剤は、屋根、外壁共にSK化研の2液型浸透性溶剤シーラー「マイルドシーラーEPO」クリヤー(透明塗料)を使用。

今回使用した塗料

足場を架けたら、まずはベランダのアクリル板外し。

高圧洗浄をする前に、アクリル板(正確にはポリカーボネイト)を外して、

屋根、外壁だけでなく破風や軒天部分もきれいに水洗いできるように、

また、きちんと塗装ができるようにアクリル板を外しました。

アクリル板を外すと、軒天部分や破風もきれいに洗えるだけでなく塗装もしっかりと塗ることができます。

アクリル板を外したら、雨樋も撤去して、いよいよ洗浄。

アクリル板も雨樋も撤去したので、これで水洗いの準備OK!

高圧洗浄は建物全体をクリーンにするのが目的ですが、特に

屋根の洗浄は、洗い流すというより屋根材一枚一枚を丁寧に

苔をこそげ落とすことが大切で、この水洗いの良し悪しで

塗装の持ちが決まる…!といっても過言ではありません。

茶色く見えるのはすべてコケ類です。

苔以外にも屋根材の欠けやひび割れ、板金の釘の飛び出しが目立ちました。

このような屋根材の欠け部分が2箇所ほどと、ひび割れが何箇所かありましたが、築年数の割には良い方だと思います。
釘の飛び出しはこの2箇所だけでなく、ほとんどの釘が飛び出していました。

高圧洗浄後

洗浄したらすぐにやらなければならないのは、屋根材の補修と釘の飛び出しを
直さなければなりません。

板金の飛び出した釘を打ち直してみましたが、ほとんどの釘がいわゆる「バカ」

になっていましたので、現在の釘より1,5倍ほど長い釘を購入してきて

打ち直しし、その後再び飛び出さないように全ての釘頭にコーキング剤を充填。

なお、ご覧の通りタスペーサーは挿入していません。

その理由については、タスペーサーをお客様におすすめしない理由

を御覧ください。

また、塗り替えたくても塗り替えられない屋根がありますので

それも当サイトの別記事

塗り替えない屋根と、塗り替えられない屋根

を御覧ください。

屋根材の欠けた部分や、ひび割れ部分コーキング剤を充填。
再び釘が飛び出さないように、全ての釘頭にコーキング剤を充填。

屋根の下塗りと中塗り(上塗りの1回目)

屋根材の補修が終わったので、シーラーを下塗りした後、

上塗り材の1回目、いわゆる中塗りを開始。

左半分は下塗りをした状態、右のグレー部分は上塗り材の1回目の塗装(中塗り)が終わったところ。
上塗り塗料の1回目(中塗り)が全て終わった状態。

上塗り塗料の2回目

上塗り塗料の2回目、これで下塗り、中塗り、上塗りの3回塗り完了です。

遮熱塗料なので、あまり黒っぽい色はおすすめできないので、グレーで仕上げました。 

外壁の塗装をする前に

水洗い後すぐに始めたのは、屋根塗りだけでなく、並行して行ったのが

コーキング剤の打ち返しです。

コーキング剤の打ち返し

コーキング剤の打ち返しは、上の写真のように目地の両側にカッターを入れて

古いコーキング剤を取り出してから、目地の両側にマスキングテープを貼り

目地にシールが付着しやすいように、シール用プライマーを塗ってから、

ノンブリードタイプの変成シリコン剤を充填します。

その コーキング剤を慣らして仕上がりなのですが、

コーキング剤の打ち返しが終わったらすぐその上に塗装するのは厳禁です。

それは、コーキング剤の表面が乾かないうちに塗装すると

その部分の塗料がひび割れる恐れがあるからです。

理想的には1週間ぐらい置いてからがよいのでしょうが

現実にはなかなかそこまで待つことができません。

それでも、少なくとも3~4日はおきたいので、外壁塗装は後回しにして

まずは、開口部や土間の養生をしたのちに、付帯物の塗装を始めます。

付帯物の塗装

付帯物塗装と言っても、雨樋が全交換なので塗装個所としては

軒天と破風(鼻隠し)と鉄格子と戸袋・雨戸だけなので、他の家に比べると

少ない方と言えるかもしれません。

ただ付帯物の塗装をする前に、しておかなければならないことがあります。

それは、設備やさんなどがよく使っている透明なシリコン剤には

塗料が食いつかないので、その上に逆プライマーを塗布して

塗料が食いつくようにしておかなければなりません。

逆プライマー
鉄格子に錆止め塗料塗布
軒天・破風仕上がり

外壁塗装 (下塗り)

コーキング剤の打ち返しから、雨の日を加えると4日ほど経過したので

外壁塗装開始です。

まずは下塗り塗装。

外壁の下塗り完了
玄関横エレガンストーン用クリアー下塗り

外壁 (中塗り及び上塗り)

お客様の選んだ色の上塗り塗料の1回目(中塗り)の塗装を開始しましたが

開始してまもなくお客様から声がかかりました。

それは、自分が選んだ色だけどイメージが違うので

色を変えてほしいという要望です。

塗装途中、突然の色変更の要望なので驚きましたが、まだ

ビニール養生も外してない段階でしたので、新たな塗料代金を追加して

いただくということで、急遽新しい塗料を注文。

フッ素塗料は高価な塗料なので、お客様の出費がかさむのが心配ですが、

とりあえず現状の色のまま中塗りを終了させてから

新たな色を上塗りすることにしました。

中塗りの上に新たな色で上塗りしたところ(左の薄い色が新たな注文色です。)

新たな注文色で上塗り完了!

新たな注文色で上塗り完了

完了までもうひと息!

ここまで来ると、あとはビニール養生を剥がし、洗浄したアクリル板を

取り付け、ベランダ床の防水トップを塗装すれば、足場を解体できます。

洗剤で洗ってきれいになったアクリル板を取り付け。

ベランダ床 防水トップ塗装

FRP(繊維強化プラスティック)防水の上に防水トップを塗るには、

まずアセトンシンナーで床全体を拭き取る必要があります。

なぜなら、FRPには蝋分が含まれているので、その蝋分を除去すると同時に

床全体をきれいにして塗料の食いつきを良くするために必須な工程です。

FRP用プライマー下塗り

防水トップ2度塗り完了

足場解体に向けて

ビニール養生をすべて取り去り、玄関のクリアーの2度塗りも終わり、

戸袋や雨戸の塗装も終わり、細かなダメ拾いも済んだので

いよいよ足場解体と思ったときに、またまたお客様から色替えの要望!

2度目の色替え!!

今度は先程とは条件が違います。

先程はビニール養生がありましたが、今回はビニール養生も全て取り去り

ベランダの床も仕上がった状態での色替えです。

そのことをお客様に伝えましたが、なんとか前面だけでも

変えてほしいとのこと。

費用も時間もかかるだけでなく、前面だけ色を変えるとなると

どこで見切るのか…という問題もあります。

それと、今度選んだ色もまた気に入らない…では、際限がありません。

そこで、今度の色替えを最後にしていただく!と言う確約のもと

建物前面だけを塗り替えることにしました。

それが下の写真の仕上がりです。

まとめ

これから塗り替えを…とお考えの方々に、塗装工程や

実際に使われる塗材には、いわゆるペンキだけでなく、さまざまな

下塗り材や、塗装をするための下地調整の数々があることを

知っていただけたら…

と思って、この記事をアップしてみました。

特に色については、お客様の好みはひとそれぞれなので

わたしたち職人にはなかなか口出しし難い面があります。

小さな色見本帳で実際の壁面の色を想定するのは、

そう簡単ではありません。

色で迷われたら無理に決定せず、ぜひ職人に相談していただきたいと思います。

塗ってしまってからでは、お客様のご負担が増えるだけでなく

職人・業者へ負担も小さくありません。

外壁の色選びについては、当サイトの別記事

外壁の色を考える

を参考になさっていただけたらと思っています。

また、塗料の種類や耐久力については

塗料の種類で値段も耐久力も変わります。

を御覧ください。

今回のこの記事を、ぜひ反面教師としていただくことを願っています。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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