塗り替えない屋根と、塗り替えられない屋根

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屋根材ならどんな屋根材でも塗り替えられるというわけではありません。

ご存知のように、日本瓦(釉薬のかかったものや、艶消しの陶器製の瓦)
などは塗装そのものの対象外ですから、
塗り替える必要のない屋根材の代表と言えます。

しかし、逆に塗り替えたくても塗り替えられない
屋根材があることをご存知でしょうか…

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塗り替えたくても塗り替えられない屋根材

それは、アスベストの使用が禁止された直後に作られた
スレート類の屋根材です。

例えば、ニチハの「パミール」、旧クボタの「コロニアルネオ」、
セキスイの「かわらU」などが挙げられます。

セキスイの「かわらU」 この瓦は塗るどころか乗ること自体が不可です。乗ればせんべいのように
パリパリと割れてしまいます。
ニチハの「パミール」これは俗にミルヒーユ状と呼ばれるように軒先の屋根材の小口から表面が
剥がれる層間剥離という現象が起き、中身のセメント基材が露出してしまいます。
旧クボタの「コロニアルネオ」 この屋根材は10年前後からこのようにひび割れや
欠損部分が多くなり、乗ると割れやすく塗り替えをためらう屋根材です。

塗り替え可能な屋根の塗装

上記のような屋根材以外は殆どの場合、塗り替え可能な屋根材と言えます。

ただ、誤解していただきたくないのが、塗り替えると
屋根材そのものが丈夫になる!ということではありませんので、
そのことは是非ご理解いただきたいと思っています。

では、塗り替えると何が良くなるの…?

屋根材そのものが丈夫にならないなら、なにが良くなるの?

まず第一は美観です。

あとは塗装の過程で、屋根材のひび割れの補修をしたり、
板金類の釘じめをしたりといった、屋根材のメンテナンス面での貢献のほか


高圧洗浄でコケ類を一掃してから塗膜で覆ってしまうので
屋根全体の水切れを良くなる効果が挙げられます。

こうしたことから、屋根材そのものの寿命(おおよそ25~30年前後)
を全うするまで屋根材をきれいに保つことができるようになります。

屋根の塗り替え手順

屋根に限らず、塗装の基本は塗装面をきれいすることから始まります。

コロニアルなどスレート屋根材の洗浄後のビフォー・アフター
セメント瓦の洗浄

屋根塗装においては、いかに高圧洗浄で瓦一枚一枚をきれいにするか…!で
将来が決まる!といっても過言ではありません。


生えている苔・カビ類は、一つ残らずこそげ落とさないと、
後々塗膜の剥がれにつながるので、いい加減な高圧洗浄は厳禁です!

高圧洗浄をしたら、すぐ塗装ではありません!

コロニアルなどのスレートの屋根材を塗るには、
高圧洗浄の他に必ずやらなければならないことがあります。

板金の釘が飛び出していることが多く見られます。
釘を打ちこんだら、再び釘が飛び出さないようにその上にコーキング剤を充填することが肝心。
セメント瓦も釘の飛び出しが多く見られます。
こちらも同じように釘を打ち込んでからコーキング剤を充填する必要があります。

写真のように棟抑えの板金や棟瓦の釘が飛び出していることが多いので、

必ず飛び出している釘を打ち込んでから、ふたたび飛び出さないように

コーキング剤を充填してから塗装工程に入る必要があります。

ひび割れの補修

このようなひび割れは、ほとんどのスレート屋根材に見られると言っても過言ではありません。
ひび割れ箇所には必ずコーキング剤を充填してから塗装工程に移ります。

棟板金には必ず錆止めを!

写真のように、板金の釘じめ、
コーキング剤の充填がおわったら
板金をケレンした後に
錆止め塗料を塗布することが肝心。

タスペーサーの挿入の可否を考える

塗装工程に入る前に、もうひとつ考慮する必要があります。

それは、タスペーサー(商品名)という屋根材の縁切り用器具を
挿入するかどうかの判断です。

タスペーサーと呼ばれる縁切り用の器具
写真のように、屋根材に差し込んで、塗料で隙間がふさがって
しまうのを防ぎ、すきまを作るための器具です。

このタスペーサーを導入するかどうかについては、屋根の勾配や現状の屋根材の
隙間がどの程度なのかを考慮して決定されますが、

わたし自身は、タスペーサーの挿入を積極的にお勧めすることはありません。

その理由については、当サイトの別記事「タスペーサーをお客様にお勧めしない理由」
を御覧ください。

屋根の塗装工程

上記のような下地処理が終われば、いよいよ塗装工程に入ります。

屋根用塗料には沢山のメーカーから、外壁用塗料と同じように
沢山の種類の塗料が発売されています。


しかし、一般的にはシリコン塗料かフッ素塗料のどちらか…
それと、遮熱塗料にするか通常の屋根用塗料にするか…
ぐらいの選択になると思います。

その塗装工程は、どちらを選択しても
上塗り塗料が指定する下塗り塗料、又は下地状況に見合った
下塗り材を塗布した後に
上塗り塗料を2度重ね塗りして仕上げる、3回塗り仕上げが一般的です。

2液型溶剤塗料下塗り例
通常のシリコン塗料下塗り1,上塗り2の3回塗り仕上げ例

屋根単独での塗り替えは不可!です。

屋根の塗装は、前述したように屋根材の材質にかかわらず、
高圧洗浄が必須です。

そのため、飛散防止用ネット(シート)が必需のため

足場無しでの塗装は不可能といえます。

こうしたことから、外壁と屋根塗装は一緒に行う必要があるので

塗り替えを考える際はこのことを念頭に置いて
計画なさることをお勧め致します。

この他、トタン屋根やガルバリューム屋根の塗替えについては
トタン屋根の塗替え方を御覧ください。

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